肥満(ひまん)・メタボリックシンドロームとは

肥満は万病のもとと言われており、健康づくりにおいて肥満の予防は重要な位置づけを持ちます。肥満とそれに伴う健康障害の増加はわが国でも深刻な問題となっており、2019年国民健康・栄養調査によれば、男性の3人1人、女性の5人に1人はBMI25以上の肥満者に該当します。特に内臓脂肪が蓄積する肥満の場合、生活習慣病を発症するリスクが高く、食生活と継続的な運動習慣の改善が重要となります。ここでは肥満とは何か、ということについてお伝えします。

肥満とは

肥満

身長に比較して体重が重い状態のことを言います。脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)が25以上の場合が肥満に分類されます。さらにBMIが35以上になると高度肥満に区分されます。

 BMI≧25

肥満症

肥満(BMIが25以上)で、肥満による11種の健康障害(合併症)が1つ以上あるか、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に診断され、減量による医学的治療の対象になります。

 BMI≧25

 

  +  

下記のどれか1つ以上当てはまる

1. 耐糖能異常(2型糖尿病など)

2. 脂質異常症

3. 高血圧

4. 高尿酸血症痛風

5. 冠動脈疾患・心筋梗塞狭心症

6. 脳梗塞・脳血栓症・一過性脳虚血発作

7. 脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)

8. 月経異常、不妊

9. 睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群

10. 運動器疾患:変形性関節症・変形性脊椎症、手指の変形性関節症

11. 肥満関連腎臓病

 

肥満の種類

皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)

皮下脂肪は皮膚のすぐ下に存在しており、主に皮下脂肪の蓄積によって肥満となっている場合を皮下脂肪型肥満といいます。 腰まわりや太ももなど下半身に脂肪がつきやすい若い女性に多いタイプで、その姿から「洋ナシ型肥満」ともいわれます。

 

内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)

内臓脂肪は腸の外側にある腸間膜に蓄積されており、主に内臓脂肪の蓄積によって肥満となっている場合を内臓脂肪型肥満といいます。増加すると腹囲(ウエストの辺り)が太ってくるため、その姿から「リンゴ型肥満」といわれます。男性は内臓脂肪がつきやすいという特徴があります。ただし、閉経後の女性は、次第に内臓脂肪がたまりやすくなります。内臓脂肪型肥満は糖尿病、高血圧、脂質代謝異常などを発症する確率が高くなります。

 

どうして内臓脂肪型肥満がいけないのか

内臓脂肪が様々な悪い物質を出すことにより、高血圧・脂質異常症高血糖といった生活習慣病を引き起こします。そしてそれらが動脈硬化を進め、脳や心疾患、糖尿病合併症など重大な病気を引き起こします。

内臓脂肪蓄積

  ↓

血圧の上昇

脂質の上昇

血糖の上昇

  ↓

動脈硬化を進める

  ↓

脳・心臓疾患

糖尿病合併症

 

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドローム、略して「メタボ」。よく聞く言葉ですよね。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します。過剰に内臓脂肪が蓄積した状態で、BMIが25未満でも、腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上の場合で、血圧、血糖、血清脂質のうち2つ以上が基準値から外れると診断されます。心筋梗塞脳梗塞など命にかかわる動脈硬化性疾患を引き起こすリスクが高く、早期の内臓脂肪を減らす対策が必要です。

 

 腹囲 男性:85cm以上/女性:90cm以上

 

  

下記のうちどれか2つ以上当てはまる

・血圧:130/85mmHg以上

・空腹時血糖:110mg/dL以上

中性脂肪:150mg/dL以上 かつ(または)

 HDLコレステロール:40mg/dL未満

 

まとめ

肥満にも種類があり、主に生活習慣病にかかわるのは「内臓脂肪型肥満」のほうです。次回は自分で内蔵脂肪型肥満に該当していないかチェックする方法や、肥満の予防・解消方法をお伝えします。

 

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